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■なぜ墓石に蓮華台があるのか?


仏像・仏画の仏様やボサツは、たいてい蓮の花弁の台座にお立ちになったり、坐っておられます。この台座は「蓮台」(は(ち)すのうてな)とか「蓮華座」(れんげざ)、「蓮華台」(れんげだい)と呼ばれています。「蓮」を「はちす」というのは、花托の部分が「ハチの巣」を逆さまにした形に似ており、穴がいくつもあるからです。

蓮華台のついた墓石をよく見かけますし、お位牌にもあります。仏さまやボサツと同じように、なぜお位牌や墓石にも蓮華台をつけるのでしょう。蓮の花には、どんな意味があるのでしょうか。
今回のテーマはお墓と蓮華(れんげ)です。

■ネアンデルタール人の供花

 

供養をするときは、お仏壇やお墓、それにお葬式でも必ず花を供えます。これを「供花」(くげ)といいます。亡くなった人に花を手向ける習慣は、いつ・だれがはじめたのでしょう?死者に矢車草やアザミなど七種の花を供えた最初の人類は、5~7万年前のネアンデルタール人(イラン・シャニダール洞窟で発見)でした(養老猛司他著『脳と墓Ⅰ』弘文堂・佐原真著『考古学千夜一夜』小学館ライブラリー)。古くから火や花は、世界共通して死者の祭祓(まつり)に用いられてきました。中でも「供花」の習慣がもっともはやく、私たちがお墓参りで花を供える習慣も、考えてみると、5万年以上も続いています。ですから、驚異的なお墓やお葬式(葬墓・そうぼ)の「文化」と言うことができます。


■古代インドの蓮の花


インド原産の蓮(英語で「ロータス」)は古くから世界中に分布していました。古代エジプト(「神聖なロータス」)ギリシャ神話(「ロータス・イーター」=食蓮人)、中国では仏教以前から、俗塵に染まない「君子の花」とされ、日本の『古事記』や『万葉集』にも出てきますし、日本で最初に花が造形されたのは6世紀の終わりでしたが、それは飛鳥寺の蓮華紋の瓦だったそうです。(佐原真著・前掲書)古代インド(3,000年前)では、「ハスの女神」像が発掘されています。蓮は女性の母胎(胎蔵)と考えられ、多産・生命の創造をあらわしました。のちに、豊穣・幸運・繁栄・長寿・健康の意味が加わります。インド最古の文献『ヴェーダ』に、ハスの女神は、蓮の花の上に立ち、蓮華の飾りをして誕生した、とあります。紀元前5世紀に仏教がこうした風土の中に生まれると、蓮華はおシャカ様の誕生を告げて花を開いた、という伝説ができます。(以上、『世界大百科事典』・平凡社)

■仏教と蓮華


仏教や仏法をあらわす代表的な花はもちろん蓮・蓮華です。有名な『法華経』の正式名は『妙法蓮華経』で、「法華」(法の華・ほうのはな)とは「大白蓮華」(だいびゃくれんげ)のことです。奈良・東大寺の大仏様(=毘廬遮那仏・びるしゃなぶつ)がまだボサツとして修行されていたとき「蓮華蔵世界」を厳かに飾られ(荘厳され)た、と『華厳経』(けごんきょう)にありますから、「華厳」の華は「蓮華」です。その様子が大仏様の蓮台(蓮弁)に描かれています。密教(真言宗・天台宗)では、マンダラ(胎蔵マンダラ)の真ん中に八葉の蓮華(中台八葉院)があり、その中心に本尊の大日如来がおられます。ちなみに墓石の蓮華台が八弁なのはここに由来しています。
また、浄土宗・浄土真宗のお経『阿弥陀経』や『大無量寿経』(だいむりょうじゅきょう)などにも、極楽浄土の蓮池には蓮の花が咲いている、と書いてあります。もちろん禅宗(臨済宗・曹洞宗)の本尊・釈迦牟尼仏の像も蓮華台に座っておられます。このように、日本のすべての仏教宗派に共通して蓮華台が使われます。それは蓮華が仏教の根本的なシンボルであるからにほかなりません。

■極楽往生と蓮華


さて、ここでクイズです。「極楽往生」といいますが、いったい、どの様にして亡くなった人は極楽往生に生まれるのでしょうか?その答えは『大無量寿経』と『観無量寿経』というお経にあります。お経には、多くの人々が七宝の蓮華の中で自然に不思議な誕生(=化生)をし、(蓮華の上に)両足を組んで坐っている、とか、命が終わると無量寿国(=浄土)に生まれることができ、七宝の蓮華の中で化生する、とあります。(『大無量寿経』=『浄土三部経』上巻205頁・岩波文庫)。また、西方の極楽に生まれ、蓮華の中に両足を組んで坐り(=結跏趺坐・けっかふざ)・・・、とあります(『観無量寿経』=『同』下巻61頁)。「極楽往生」とは、浄土の蓮池に咲く「蓮華」の中で、一瞬のうちに不思議な誕生をすることです。こうした誕生を「蓮華化生」(れんげけしょう)といいます。ここに仏教以前の古代インドの「ハスは母胎をあらわす」という考えが受け継がれています。

■蓮華は成仏と往生のあかし


ところで、亡くなっていない仏さまが蓮華の台座にいるのはなぜでしょう。それは蓮華に「悟りの世界」という意味があるからです。蓮華はよごれた泥の中から清らかな花を咲かせます。泥は「迷いの世界(この世)」、蓮華はよごれた泥に染まらない「悟りの世界」のたとえです。仏さまは悟りを開いて仏になった(=成仏した)尊い方です。その「あかし」として蓮台に乗っておれるのです。日本では平安中期に浄土のおしえが広まりますが、臨終のときは「ナムアミダブツ」とお念仏を称えた人は全て浄土に生まれる、という「極楽往生」のおしえでした。それは「成仏」と同じ意味なので亡くなった人も蓮華台に坐ることができるのです。お念仏を称えると死者は成仏し極楽往生できる、という教えは、日本では画期的なことだったので、わかりやすさから一気に全国に広まりました。
最初に述べたお位牌やお墓に「蓮華台」をつけるのは、実は亡き人が成仏し極楽往生した「あかし」だったのです。

■観音様が蓮華を持ってお迎え


「蓮華の中に化生する」といいましたが、では臨終のとき、だれが蓮の花を運んでくれるのでしょうか。それを描いたのが『阿弥陀聖衆来迎図』(あみだしょうしゅうらいごうず)です。アミダ様は25人のボサツたち(聖衆)をつれて西方浄土から臨終の人をお迎えに来る(来迎)様子が描かれています。この中にはもちろん地蔵ボサツもおれらます。図を見ると、アミダ様の左右に観音ボサツと勢至(せいし)ボサツが先導され、観音様は両手で「蓮台」をささげ持っておられます。(勢至ボサツは合掌されています。)これが浄土へ往生するための「蓮華」です。

こうした図を美術では「来迎形式」といいますが、他にもアミダ様・観音様・勢至ボサツの「阿弥陀三尊蔵(図)」(あみださんぞんぞう)や、「山越阿弥陀図」(やまごえあみだず)などがあります。有名なのは宇治平等院・鳳凰堂の「阿弥陀浄土」(国宝・京都)、大原・三千院の「阿弥陀三尊像」(重文・京都)、知恩院の「阿弥陀三尊来迎図」(国宝『法然上人絵伝』・京都)、禅林寺の「山越阿弥陀図」(国宝・京都)などがあります。とくに「来迎阿弥陀三尊蔵」の勢至・観音ボサツは、日本式に「正座」をされています。お寺や美術館で「来迎図」や「来迎阿弥陀三尊蔵」をご覧になることがあったら、こんな点にも注意して、平安時代以来の日本人が、亡き人への優しい願いを込めたことも、是非思い出して下さい。

■お墓と蓮華台


「蓮台」(はちすのうてな)は、亡き人・ご先祖様たちがホトケ様となり(成仏し)、西方極楽浄土へ往生した「あかし」として、お墓や位牌につけられていることはご理解頂けた、と思います。先生はこのことが日本に花ひらいた、民衆の信仰のすばらしい大白蓮華(だいびゃくれんげ)のようだとお考えです。そこに流れているのは、亡き人やご先祖さまを大切におもい、極楽で安らかに暮らして欲しい、と願う、やさしい日本人の「先祖供養」の心です。どうかこの「日本人の心」を大切にし、いつまでも子や孫へ伝えて欲しいとお考えです。

先生はお墓がとても好きな変な人間ですが、蓮華台のあるお墓の前では「幸せですね」と話しかけます。もし、ご予算が許せば、是非墓石に「蓮華台」を奮発して付けてみて下さい。きっとお墓参りが楽しくなり、とても豊かな気分になるはずです。

 

 


※この「日本人とお墓シリーズ」の著作権は、「石文化研究所 小畠宏允先生」に帰属します。

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