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■お墓はすきですか?


講演会の時に「お墓は好きですか」と先生は尋ねるそうですが、あまり反応はないようです。「では、お墓が好きでたまらない方は、手を挙げて下さい」というと、笑いながら一人か二人手を挙げる方が居るそうです。もちろん先生はお墓が大好きです。だから明治~大正時代に、日本のお墓をこころから愛したポルトガル人がいたことを知って、本当に嬉しくなったそうです。

■日本のお墓を愛したモラエス


ポルトガル人モラエスの日本随想記『徳島の盆踊り』(岡村多希子訳・講談社学術文庫)には、現代の日本人が忘れた先祖崇拝とお墓の魅力が、心温まる美しい文章でつづられています。少し紹介します。

--(死者は)「ほとけ」すなわち仏陀となる。一般に口にされる敬称である「ほとけさん」は、自分が生きていた土地や家族を忘れず、好物だった食べ物の味や、好きだった花の香りさえも忘れることなく(家族が)寄せてくれるやさしいおもいに感謝し、喜んで彼らを保護する。ここから先祖崇拝が生まれる。
--日本の家族が死者を祀るのは寺院においてではない、墓地の墓のそばや家庭の祭壇においてである。
--(死者の霊は)あらゆるものが見え、聞こえるのであり、もっともふさわしい場所、すなわち自分がかつて住んでいた家や、納骨されている墓で尊崇されることを喜ぶのである。
--日本人が死を前にして穏やかな諦念にひたっていれるのは、死者崇拝のおかげである。・・・死んで家庭の中にその場を占め続け、妻あるいは夫の、子供たちの、孫たちの、曾孫たちの、玄孫たちの、未来の全ての世代の愛情をうけ続けることは、実を言えば、死ぬことではない。生きること、永遠に生きることである!そしてモラエスは、日本のお墓参りの美しい習慣に感動したあと、次のように書いています。
--広大な墓地が無数にあるここ徳島で、墓地巡りが自然と楽しくなって、習慣化した。死者のそばにいると、彼らをとりまく静かな風景の中にいると、・・・私のこころは安らぎををおぼえる、--と。
長くなるので省略しますが、『徳島の盆踊り』には、現代人が失いかけている日本人の「ご先祖様」とともに生きる人々の生活が、いきいきと描かれています。(モラエスについては、角川選書に林啓介著『美しい日本に殉じたポルトガル人・モラエス詳伝』があります。)

■日本人と「お墓のこころ」


亡き人に対するお墓やお葬式の儀式、お祀りは、いろいろな民族独自の「死」に対する考え方をもとにしてできています。「人は亡くなるとどうなるか」、「人はどこから来て、どこへ行くのか」、「あの世はあるのか」などという「死生観」、「死後観」、「霊魂観」、「他界観」は宗教や文化の問題になりますが、ここではそれを「お墓のこころ」と呼びます。日本ではお墓をつくるのに、大きく分けて三つの考え方があった、と先生はお考えです。

一、亡き人(死者)の魂を救うため。
二、家族が栄え、幸せになるため。
三、死者のたたりやけがれを避けるため。

大雑把にいうと、一は仏教が日本にもたらしたもの、二は中国の儒教や風水の「先祖祭祀」の影響を強く受けたもの、三は『古事記』や『日本書紀』など古代日本の神話に基づく神道的な考え方、といえます。

ただ「三」については、残念なことがあります。お墓やお葬式を研究する多くの民族学者や戦後の仏教学者たち、それに一部のお坊さんまでが「死者のたたり・けがれ」ばかりを大きく取り上げて「亡き人の冥福や家族の幸せ」のことをすっかり忘れてしまったかのように口を閉ざしている点です。モラエスが感動したように、古来日本人は、お墓や仏壇の前で、亡き人のご冥福を祈り、ご先祖様を供養しながら、ご先祖様とともに生活をする幸せを感じてきました。こうした習慣は、たぶん五・六千年前の縄文時代からあったと先生はお考えです。だから、日本人が「たたりやけがれ」のためだけにお墓をつくった、とはどうしても思えないそうです。モラエスもきっと、そう感じたはずです。

■墓地で発見したこと


先生は全国各地に出張した時、よくそこの墓地をたずねるそうですが、今ではそれが、とても「楽しい時間」になっているそうです。墓地やお墓を「こわい」と思ったことはないそうですが、初めのうちは少し薄気味悪くて、決して居心地がよい場所とも思えなかったそうです。それが突然、あることに気付いて、すっかりお墓が好きになったそうです。

蓮華台のあるお墓の前に来た時何気なく、「なぜ蓮華台をつけるのだろう?」と考えて、ハッと気付かれたそうです。「このお墓に眠っている人は、立派にホトケ様となって、今は極楽往生で安らかに暮らしているんじゃないか!」と。蓮の華は、極楽浄土へ往生する時、亡き人がこの世から乗っていく「専用の乗物」です。また、仏教そのもののシンボルであり、ホトケ様のシンボルとして仏教には必ず「蓮華台」が付いています。(このことについては、当ホームページの『蓮華ってな~に』をご参照下さい。)そうすると、この蓮華台の付いているお墓に眠っている人は、立派に「ホトケ様となった」(成仏した)ことになります。先生は思わず小さな声で「よかったですね」と声をかけられたそうです。そして同時に、このお墓を建てた家族の人の気持ちがよくわかったそうです。「残された家族はみんな、亡き人の幸せをひたすら願ってお墓を建てているのだ」と。すると、とたんに、お墓や墓地が今まで違って、「すばらしい場所」に見えてきたそうです。とりわけ「お墓」には、亡き人の、あの世での幸せを願う家族一人一人の気持ちがギュッと凝縮されているではありませんか。お墓はまぎれもなく「幸せのシンボル」なのだ、と感じられたそうです。このことがあってから先生は、お墓や墓地が大変好きになったそうです。ポルトガル人のモラエスはきっと、キリスト教世界に無い、日本の「美しい心」に魅了されたのでしょう。そして彼は日本で生涯を終え、こよなく愛した徳島のお墓の土に今も安らかに眠っています。

■三内丸山遺跡のお墓


縄文時代の定説を覆した「三内丸山遺跡」(さんないまるやまいせき・青森県)で変わった墓地を見て、先生は本当に感動されたそうです。集落の中央を通る広い道の両側の斜面に、向き合うように並んだお墓の列が、最初50メートルほど見つかりました。
ところが、その後この道は400メートルほど発掘され、その先は未調査です。しかも道の幅が、大型車など無論無かった5,000年前に、なんと15メートルもありました。今の国道並みの広さです。これをどのように考えたらよいのでしょう。考古学の見方は知りませんが、この情景を見た時、先生はすぐ、「あっ、これは村全員が定期的にお墓参りをしたに違いない」と感じたそうです。そうでないと、こんな広い道は必要ありません。それで「村中の人がお墓の参道を、行列しながらお参りするためなんだろう」と思われたそうです。しかしこの道は海岸へ続き、海の幸やさまざまな珍しいものが入ってくる大切な道なので、大勢の人が行き来し、大がかりな作業もしたのなら、「お墓参り」だけが目的ではなかったかも知れません。それにしてもなぜ、生活に必要な物資を運ぶ道路の両側に、整然と列をなして、亡くなった人を埋葬したのでしょうか。縄文人はきっと、亡くなった人達に、もっとも大切な自然の恵みを見せ、生きている人々とともに生活をしていたのではないでしょうか。これが日本人の「死生観」の原点と先生はお考えです。だから、先生には、民俗学者や仏教学者がいうように、死者の「けがれ」や「たたり」を恐れてお墓をつくったり、遺体を野山に棄てるのが日本人のお墓の原点だとは、どうしても考えられないそうです。弥生時代の「吉野ヶ里遺跡」(佐賀県)で、首長の小高い墳丘墓と、多くの甕棺が埋葬された墓域を見た時にも、三内丸山のお墓と同じことを感じたそうです。確かに長い歴史の中では天災・飢饉・戦乱時に、野山に死者を棄てたかも知れません。しかし、日本人は、本来、亡き人とともに暮らしました。例えば、自分の土地にお墓をつくる「屋敷墓」の風習が全国にたくさんあったのを見てもわかります。(今は法律で規制されています。)

■お墓が「幸せのシンボル」に見える人


かつて、日本人は、「死んだらご先祖様になって、子や孫の面倒を見る」といいました。そんな老人がいたのも、ご先祖様とともに「幸せに生きる習慣」が日本にあったからです。今は、ほんの少し、そのことを忘れているのでしょうか。こんなすばらしい習慣を、お墓参りのとき、家族そろって思い出して欲しいのです。お墓が「幸せのシンボル」に見えると、それは自然に身に付きます。
墓地でそんな家族にあえたら、先生は一日中しあわせな気分になれるような気がするそうです。

 

 


※この「日本人とお墓シリーズ」の著作権は、「石文化研究所 小畠宏允先生」に帰属します。

無断で複製・転載はご遠慮下さい。

 

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